『憐』---れん--- 憐れみと愛らしさという2つの意味を持つこの字は、 『心』を表す"りっしんべん"と『繋がる』という意味を持つ"粦"(リン)から成り立ち、 『ずっと繋がっていく想い』を表します。 今回の作品のモチーフである花魁さんを漢字一文字で表すと、私の中でこの漢字がピタッときました。 --------------憐玉の　ごとき美し　花たちに 綴り重ねる　清き言魂-------------- 花魁、と聞いて、どんな世界を、人を想像しますか？ 男性社会であった当時、遊郭は女性が働ける唯一の場所でした。 幼い頃から文学や芸事、遊びに至るまで教養を身に付け、どんなお客が来ても多方面で相手を楽しませることができる……それがトップ遊女である"花魁"です。 各地から集まった彼女たちが出身地で差がつかないようにと生まれた廓言葉、三味線で演奏するのに言葉回しとテンポが絶妙な親しみやすい投節など、特に江戸時代の遊郭で花魁さんの作った文化がたくさん生まれました。 遊郭という限られた世界の中で生まれた遊郭文化は、日本のもう一つの精華ではないかと思います。 美しく優雅な世界の裏には、壮絶で悲しい歴史もたくさんあります。 それぞれの花魁さんにそれぞれのストーリーがあります。 しかし、与えられた環境、限られた世界の中で、気高く美しく生き抜いた花魁さんの姿を『花魁』という文字で描いたこの作品に感じて頂けると嬉しいです。